
「せっかくのマイホームだから、縁起のいい日に引っ越したい」
そんなふうに思ったことはありませんか?
日本では、昔から「大安」や「仏滅」などの“六曜(ろくよう)”をもとに、結婚式や引っ越し、建築のタイミングを決める風習があります。特に、人生の節目となる家づくりにおいて、日取り=運気の流れと考える人も少なくありません。
本日のコラムでは、六曜と家づくりとの関係について、ご紹介したいと思います。現代的な価値観と照らし合わせながら、「縁起を担ぐかどうか」の判断材料にもなれば幸いです。
六曜とは?意味と由来をざっくり解説

「六曜(ろくよう)」とは、中国より日本に伝えられた暦の一種で、日ごとの吉凶を示す指標です。主に冠婚葬祭や建築スケジュールの日取りを決める際に参考にされてきました。
六曜には次の6種類があります。
六曜 | 意味・特徴 | 避けられる場面 |
大安 | 最も縁起が良い「万事吉」 | なし(全てOK) |
友引 | 「勝負がつかない日」縁起良し(ただし葬儀は避ける) | 葬儀 |
先勝 | 午前が吉、午後は凶 | 午後のイベント |
先負 | 午前が凶、午後が吉 | 午前のイベント |
赤口 | 仏滅の次に縁起が悪い、正午前後のみ吉 | 全般的に避けられがち |
仏滅 | 最も縁起が悪い日 | 結婚式・引っ越しなど |
六曜の由来には諸説ありますが、もともとは中国の占星術がベースで、日本には江戸時代に伝わったとされています。
引っ越しに「大安」が人気の理由とは?

引っ越しは「新たな人生のスタート」。そのため、「良い運気を呼び込みたい」「家族が幸せに暮らせるように」と、現代でも大安の日を選ぶ人が多いのが現状です。そのため、不動産業者や引っ越し会社の予約も大安の日は埋まりやすい傾向があり、「縁起を担ぎたい」という方は住宅会社等と相談しながら早めに計画を立て、日取りを決めることが大切です。一方で、仏滅や赤口はできれば避ける、という考えの方も根強いです。しかしながら、仏滅や赤口の日は混雑を避けることができ、場合によっては費用を抑えることもできるため、六曜等についてあまり気にされないご家庭に選ばれる傾向があります。
- 大安:最も人気。引っ越し業者の予約も埋まりやすい
- 仏滅:避けられがち。ただし料金が安く、狙い目の日でもある
- 友引・赤口:迷う人が多く、家族と相談して判断するのがおすすめ
「仏滅だけど午前中だけ荷物を入れて、実際の入居は大安にする」など、柔軟な捉え方も増えています。
上棟式と六曜の関係|縁起はやっぱり大事?

上棟(じょうとう)とは、家の骨組みが完成し、棟木を取り付ける日。
この日に「上棟式(じょうとうしき)」を行うのが日本の伝統で、建築工程のなかでも節目の日とされています。上棟日にも「大安」が選ばれることが多いですが、施工スケジュールの都合で「先勝」や「先負」を選ぶケースもあります。ただし、「仏滅」は避けられる傾向にあるため、「せっかくのお祝いごとだから」という気持ちから選び直す方もいます。この考え方は、選択する住宅会社によって異なりますので、六曜を気にされる場合は、事前に施工会社に相談してみると良いでしょう。
🏠 工務店やハウスメーカーによっては、六曜を配慮した日程を提案してくれることも。
仏滅はなぜ避けられる?本当の意味と誤解

「仏滅=絶対に避けるべき」と思われがちですが、その背景には言葉のイメージや文化的な誤解が影響しています。
仏滅の意味とは?
「仏滅」は文字どおり「仏も滅するほど悪い日」とされ、六曜の中で最も凶とされる日です。もともとは「物事が全て終わる、何も成就しない日」といった意味合いがあり、成功や発展を願う場面には向かないとされてきました。
実生活で避けられる理由
- 結婚式や引っ越し、契約など、新しいことの始まりと相性が悪い
- なんとなく「縁起が悪そう」という心理的抵抗がある
- 両親や年配者からの意見で気にするケースも多い
ただし、仏教とは直接関係なく、語感やイメージが影響して広まった誤解も多いのが実情です。
⚠️ 仏滅は「仏教で忌み嫌われている日」ではありません。あくまで暦(こよみ)上の概念です。仏滅は「絶対NG」ではなく、「知って選ぶ」が正解です。
六曜を気にする人、しない人|現代の価値観の変化
最近では、「六曜を気にしない」という方も増えています。特に共働き夫婦や小さなお子さんのいる家庭では、スケジュールや予算重視で日取りを決めるケースが多くなっています。SNSなどでは、「仏滅の方が引っ越し代が安かったから選んだ」という声も。一方で、ご両親や祖父母が「大安にしておきなさい」とアドバイスしてくれることもあり、世代間での価値観の違いを感じる場面もあります。
最近は「気にしない派」も増加中
- 平日で割引が効くため、仏滅をあえて選ぶ
- 混雑を避けてスムーズに動ける
- 日取りよりも予算や利便性を重視
意外とトラブルに陥りやすいのが、ご夫婦は気にされていなくてもご両親が気にされるという事例があり、ちょっとした親子喧嘩に発展してしまう恐れがあります。そのため、自分たちの考え方に加えて、事前に家族の意向を確認しておくと、後々のトラブル回避に繋がります。
「一流万倍日」や「天赦日」もチェック!家づくりで注目の吉日

六曜以外にも、カレンダー上で特に縁起が良いとされる日があります。家づくりや引っ越しにおいて、「せっかくなら吉日に」と考える方にとって、これらの日を意識するのもおすすめです。
一流万倍日(いちりゅうまんばいび)
「一粒のモミが万倍に実る」とされる日で、物事を始めるのに最適な吉日です。新しいことにチャレンジする日として、引っ越し・新築契約・ローン申請など、スタートにぴったりの吉日で人気が高いです。ただし、「マイナスな行動(借金やトラブルの原因になること)も万倍になる」と言われており、注意が必要です。
天赦日(てんしゃにち)
「天がすべての罪を赦す」とされる、年間に数回しかない最上級の大吉日です。この日に新居の契約、住宅ローンの申請、引っ越しなどを行うと、運気の後押しが期待できる日として考えられています。
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不成就日(ふじょうじゅび)
一方で気をつけたいのが「不成就日」。その名の通り、「何事も成就しにくい日」とされる凶日で、引っ越しや契約などを避ける人もいます。吉日(大安や一流万倍日など)と重なることもあるため、注意が必要です。とはいえ、これらはあくまで“指針”です。吉日を重視するのも良いですが、現代ではスケジュールやコストとのバランスを重視する考え方が広がっています。
- 大安にこだわりすぎて、引っ越し費用が高額になる
- 仏滅を避けた結果、希望のスケジュールが合わない
そんなときは日取りに縛られすぎず、「納得のいく理由があればOK」と考え、家族やパートナーとの話し合いを大切にし、家族にとってのベストなスケジュールを優先するのが大切です。たとえば「平日で安い仏滅の日に引っ越して、家に入るのは翌日の大安にする」など、柔軟に考えるのも◎。
まとめ
六曜や吉日は、古くから日本人に親しまれてきた文化的な知恵です。意味や背景を知り、「なぜその日が選ばれてきたのか?」を理解することで、家族にとってベストな選択ができるようになります。特に家づくりや引っ越しのような人生の大きなイベントに直面した際は、「気持ちよく始めたい」という思いが重視される傾向があります。六曜をどの程度取り入れるかは人それぞれですが、「知っている」ということが選択肢を広げます。「日取りを気にする or 気にしない」は人それぞれ。大切なのは自分たちらしいスタートを切るために“納得して選ぶこと”
ぜひ、ご家族で話し合って、これから家を建てる参考になれば幸いです。