
新築のお家に入ったとき、ふわっと漂ってくる「新しい家のにおい」。どこか心地よく感じることもありますが、実はその香りには、目に見えない“化学物質”が含まれていることがあります。そして、その化学物質が原因で起こる体調不良――それが「シックハウス症候群」と呼ばれるものです。
このブログでは、シックハウス症候群の基本知識から、ご家庭でできる対策まで、ご紹介いたします。
シックハウス症候群とは?どんな症状があるの?

シックハウス症候群とは、住宅に使われている建材や接着剤、家具などから揮発する化学物質によって、以下のような体調不良を引き起こす症状のことです。
- 頭痛やめまい
- 喉の痛みや咳
- 目のかゆみや充血
- 吐き気
- 皮膚のかゆみ
- 倦怠感、集中力の低下
特に、体質や体力がまだ安定していない小さなお子さまや高齢者、科学物質過敏症の方は、より影響を受けやすいため注意が必要です。
原因①ホルムアルデヒドって何?
ホルムアルデヒドは、木材用の合板や家具、接着剤、壁紙などに使用される化学物質の一つで、特有の刺激臭があります。空気中に放散されると、呼吸器や目、喉などに刺激を与えることが知られています。日本では、厚生労働省がホルムアルデヒドの室内濃度に基準(0.08ppm以下)を設けており、それを超えると健康被害のリスクが高まるとされています。
※日本で規制されている物質は、ホルムアルデヒドの他に「クロルピリホス」があります。「クロルピリホス」は2003年に建築基準法が改正され、居室を有する建築物への使用が禁止されています。
原因②:VOC(揮発性有機化合物)って何?
VOC(Volatile Organic Compounds/揮発性有機化合物)とは、空気中に簡単に揮発するさまざまな化学物質の総称です。以下のような成分が含まれており、それぞれが健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
- トルエン
塗料や接着剤に含まれ、吸い込むと頭痛や吐き気の原因に - キシレン・ベンゼン
家具や内装材に含まれ、長期的には神経系への影響が懸念される
VOCは新築住宅やリフォーム直後の家で特に濃度が高くなる傾向があります。換気が不十分だと、室内にこもってしまい、家族の健康を脅かす恐れがあります。
「F☆☆☆☆」とは?建材選びでチェックしたいポイント

家づくりや家具選びで注目していただきたいのが、「F☆☆☆☆(エフフォースター)」という建材の等級表示です。これは、ホルムアルデヒドの発散量を示す基準で、日本工業規格(JIS)および日本農林規格(JAS)により定められています。
星の数が多いほど、ホルムアルデヒドの放散量が少なくなります。
- F☆、F☆☆、F☆☆☆:使用制限あり
- F☆☆☆☆:使用制限なし(最も安全な等級)
安心して暮らせる住まいを目指すなら、「F☆☆☆☆」の建材・家具を選ぶことが非常に大切です。また、最も安全な等級と言われていますがホルムアルデヒドを含んでいないというわけではなく、量が少ないという目安でしかありません。より安全な家づくりをされていという方は、ホルムアルデヒドを含んだ材料を使用しない自然素材の家を選択するというのもおススメです。
シックハウス症候群を防ぐためにできる5つのこと

① 定期的な換気を心がけましょう
化学物質は空気中にこもりやすいため、こまめな換気が基本です。窓を2方向で開ける「対面換気」がおすすめです。
② 空気清浄機を活用しましょう
HEPAフィルターや活性炭を備えた空気清浄機は、ホルムアルデヒドやVOCの除去に役立ちます。
③ 「F☆☆☆☆」の建材や家具を選びましょう
ホルムアルデヒドを含んでいるのは、建築材料だけではありません。新居に持ち込む家具にも気を付けなければなりません。なぜなら家具にもホルムアルデヒドが使われているからです。ぜひ、今後新たに家具を購入される際はF☆☆☆☆表示をチェックしてみてください。
④ 自然素材のインテリアを取り入れる
木や綿、麻などの自然素材は、化学物質の使用が少ない場合が多く、安心感があります。特にカーテン等にもホルムアルデヒドが含まれていることがありますので、自然素材のものを採用されるのがおススメです。
⑤ 入居前に“ならし期間”を設ける
引き渡し直後は、数日から1週間程度、しっかりと換気を行う期間を取りましょう。これだけでも、室内の化学物質濃度を大幅に減らすことができます。
まとめ
新しい住まいは、人生の中でも大きな転機のひとつです。だからこそ、見た目や設備だけでなく、「空気の質」や「健康への影響」についても意識することがとても大切です。シックハウス症候群の正しい知識を持つこと。安全な建材や家具を選ぶこと。日々の換気など、小さな対策を積み重ねること。これらを実践することで、ご家族全員が安心して暮らせる空間をつくっていくことができます。「住まい」は、ただの建物ではなく、大切な人と過ごす場所です。健やかな毎日のために、今日からできる対策をぜひ始めてみてください。