「家相」と「風水」は何が違う?家づくりで混同しがちな歴史と今どきの向き合い方

注文住宅を建てる際にご両親や祖父母から「家相」や「風水」についてアドバイスを受けたことはございませんか?そして、「家相」や「風水」について、どこまでを参考にすれば良いのか迷ってしまう方も少なくありません。

本日のブログでは、それぞれのルーツや考え方を解説しつつ、現代の家づくりにどのように活かせるか、また、どこまでを参考にしたら良いのか。「縛られすぎないことの大切さ」についてもご紹介いたします。

目次

「家相」とは?—日本の風土に根ざした住まい観

「家相(かそう)」は、日本に古くから伝わる住宅の吉凶を判断する思想で、陰陽道(おんみょうどう)をルーツとしています。江戸時代には庶民の間でも普及し、「鬼門(きもん)」や「裏鬼門(うらきもん)」といった方角の概念が生活の中に根付きました。

家相の主な考え方:

  • 北東(鬼門)や南西(裏鬼門)を避ける設計
  • 間取りや部屋の配置によって運気が変わる
  • 家の欠け・張りが家族運に影響

当時の住宅は断熱性や耐久性が低く、自然環境に大きく左右されていたため、家相は生活の知恵として実用的な側面を持っていました。

「風水」とは?—気の流れを重視する中国の思想

風水(ふうすい)は、中国発祥の空間設計哲学です。道教や五行思想といった中国古来の哲学を背景に、「気(き)」の流れを整えることで、健康や金運、人間関係などを気の流れを整え、自然と人との調和を図ることを目的としており、数千年の歴史を誇ります。

風水の主な特徴:

  • 気(エネルギー)の流れを整えることが重視される
  • 五行思想(木・火・土・金・水)によるバランスを重要視
  • 方角だけでなく、家具や色彩、形状にも意味を持たせる

現代ではオフィスの配置やインテリアデザインにも取り入れられており、ビジネスや家庭の運気を高めるための“ライフスタイル哲学”としても注目されています。

家相と風水の違いと共通点

家相と風水は似ているようでいて、文化背景や哲学的基盤が大きく異なります。しかし、どちらも「よりよい住まいをつくる」ための知恵であるという点は共通しています。

比較項目家相風水
起源日本(陰陽道)中国(道教・五行思想)
中心概念方位と間取り気の流れと五行バランス
実用の範囲建築設計全体空間全体(建築+家具配置など)

家づくりでの取り入れ方と、縛られすぎるリスク

取り入れるポイント

家相や風水の知識は、現代でも設計の参考にできます。例えば、採光や通風を意識した設計、生活動線の工夫などは、住みやすさに直結する部分です。ただし「信じすぎ」や「従いすぎ」には注意が必要です。

縛られすぎることで起きる問題

  • 設計の自由度が低下
    本当に自分たちの生活に合った必要な間取りが実現できない
  • コストの増加
    不要な設計変更や資材費の上昇
  • 心理的なストレス
    「これはダメ」と思い続ける負担
  • 家族間の不和
    価値観の違いから意見がぶつかる可能性も

現代の住宅性能と気候変化がもたらす価値観の変化

家相や風水が重視されていた時代の日本の住宅は、寒暖差や湿気に弱く、自然災害の影響も大きいものでした。しかし、現代では次のような住宅技術の進歩があります。

  • 高断熱・高気密の住宅が普及
  • 換気や日射遮蔽などの性能設計が可能に
  • 地震に強い構造や最新の建材を使用

これらにより、昔のように「方角=生活環境の良し悪し」を決定づけることは少なくなってきています。つまり、「家相」や「風水」にそこまで縛られる必要性は減ってきているのではないか、と考えられるのです。

まとめ:今どきの家づくりは“バランス感覚”がカギ

家相や風水は、古くからの知恵として、現代にも通じる部分が多くあります。しかし現代の住宅は、断熱性や気密性能といった住まいの性能が向上し、さらに生活スタイルも多様化しています。そのため、これからの家づくりでは、「気にしすぎない」「信じすぎない」といった柔軟な姿勢が大切になってくるでしょう。もちろん、家相や風水を日頃から大切にされている方にとっては、家づくりの際にそれらを取り入れることで、より満足のいく住まいを実現できるはずです。一方で、これまであまり意識してこなかったけれど、「家相や風水ってどうなんだろう?」と、家づくりをきっかけに気になり始めたという方もいるかもしれません。そうした場合は、自分たちの暮らしや価値観を大切にしながら、必要だと感じる要素だけをうまく取り入れる、という柔軟な考え方が、“後悔しない家づくり”へとつながります。

ぜひ、「家相」や「風水」にとらわれすぎてストレスを感じるのではなく、それぞれの良い部分をうまく取り入れながら、家づくりそのものを楽しんでください。

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