

注文住宅は、自分たちの理想の暮らしを実現できる大きなチャンス。しかし、実際に住み始めてみると「こんなはずじゃなかった…」という後悔の声が多いのが「収納」です。収納の仕方について事前に考えておくことは非常に大切です。大は小を兼ねると、収納容量を大きく取り過ぎてしまうと、建物の面積が増えていってしまい、建築費用が高くなってしまいます。逆に、生活がメインとなるLDKばかり広さを優先してしまい、収納量が足りなかったという方もいらっしゃいます。
本コラムでは、注文住宅で収納計画に失敗しないための考え方についてご紹介します。
注文住宅の収納計画の基本

注文住宅を計画する際、収納計画の基本が大切です。まず初めに、家族のライフスタイルや物の量を把握しましょう。また、子供がいる家庭では、成長に伴って必要な収納が変化していきますので、どのようなものが増えるのか、子どもたちにはどういうふうに収納して欲しいのかイメージすることも大切になってきます。
必要な収納量を把握する
必要な収納量を把握することは、注文住宅の収納計画において不可欠な第一ステップです。まず、自分たちのライフスタイルを振り返り、どのような物を普段使用しているのかをリストアップしてみましょう。衣類、靴、子供のおもちゃ、季節家電など、家族全員の物を考慮し、それぞれのカテゴリーにどれだけのスペースが必要かを具体的に把握します。また、クローゼットにかけている服等については、ハンガーパイプの長さを測り、今の住まいで使っているものと同じくらいで問題ないのか。足りていないか等を確認するとハンガーパイプの必要な長さが分かってきます。そして、将来的に物が増える可能性も考慮し、少し余裕を持たせた収納計画が望ましいです。このように、必要な収納量を見極めることで、無駄なスペースを減らし、必要な収納量を確保することができます。
「広さ」ではなく「使い方」を考える
収納というと「とにかく広く」と思いがちですが、実は大切なのは“使いやすさ”。広くても奥行きがあり過ぎて、出し入れしにくい場所にあると、使い勝手が悪く、不要な奥行はデッドスペースになりかねません。だからこそ、収納するものに合わせて収納設計を計画することが基本です。どの程度の収納が必要か分かったら、それぞれのアイテムのサイズや頻度を考慮し、収納位置を仮決定します。
適切な場所に配置する
収納に大切なのは「どこに収納するか」。まず、日常的に使用する物を考え、その物に合った適切な場所を選びましょう。例えば、キッチン用品はキッチン近くに収納を置くことで調理中に直ぐに使うことができます。また、玄関付近に土間収納を置くことによって、ベビーカーやアウトドア用品をそのまま出し入れが楽々に。他にも、子供の手が届く高さにおもちゃを収納したり、逆に、子供の手が触れると危ないものは高いところに収納する等の家族全員が使いやすいように工夫することも大切です。ポイントは“しまう→使う→戻す”の動線が自然になるように設計することがカギです。
少しの余裕を持つことの重要性
注文住宅における収納計画では、少しの余裕を持つことが重要です。特に家族が成長するにつれて、必要な物が増えていくことが多いからです。初めは少ない物で済んでも、子供ができると教育関連の資料や衣類、遊び道具などが増えていきます。そのため、今のライフスタイルに合わせるだけでなく、将来の変化も考慮しましょう。子どもが成長すればモノが増えるし、夫婦だけになれば収納の使い方も変わります。最初から必要以上の収納スペースを用意するのではなく、適度な余裕を持たせた設計が理想的です。これにより、物が増えた際にも慌てずに対応でき、自宅が片付いた状態を保つことができます。少しの余裕を持つことで、未来の生活の変化にも柔軟に対応できるため、計画段階での検討がカギとなります。
部屋別の収納アイデア

部屋別の収納アイデアは、効率的な収納計画を立てる上で欠かせません。部屋ごとの特性を生かした収納アイデアを取り入れると、暮らしやすい空間が生まれます。ここでは、各部屋の収納方法についてご紹介いたします。
玄関の収納
玄関は家の顔とも言える場所であり、収納計画が特に重要です。まずは靴の収納を考えましょう。靴箱を設置する際は、家族の人数や靴の数に応じたサイズを選ぶことが大切です。奥行きのある靴箱や棚にすれば、上段には季節外の靴を収納でき、下段には普段使う靴を置くことで整理しやすくなります。次に、傘や小物の収納にも工夫が必要です。玄関にフックを取り付ければ、外出時にさっと持って行ける傘やマフラーを掛けておけます。さらに、収納ベンチを設置すれば、靴を履く際の便利なスペースにもなり、整理整頓が進みます。このように、玄関の収納は工夫次第でスムーズな日常をサポートします。
リビングの収納
リビングの収納は、居住空間を快適に保つために非常に重要です。収納の仕方には大きく2つ。それは“見せる収納”と“隠す収納”です。インテリアとして“見せる収納”も人気ですが、全てを見せてしまうとごちゃついた印象になることも。ポイントは、見せたい部分と隠したい部分のメリハリをつけること。例えば、リビングの一角に本棚を設けて、好きな本や雑貨をディスプレイして“見せる収納”に。そして、日用品は生活感がでてしまうため、扉付きの収納にまとめて、生活感を隠す“隠す収納”がおススメ。デコレーションと実用性を兼ね備えた収納方法は、リビングの雰囲気を引き立てます。リビングは家族が集まる場所なので、整理された空間は心地よい時間を提供してくれます。
キッチンの収納
キッチンの収納は、毎日の料理や食事の準備に影響します。まず、調理器具や食材を効率よく収納するために、吊り棚やキャビネットを活用するのがおススメです。これにより、作業スペースを広く保つことができます。また、引き出し式の収納もお勧めです。内部に仕切りを設けることで、さまざまなサイズの器具や調味料を整然と収納できます。特に、使用頻度の高いアイテムは取り出しやすい位置に配置しましょう。最後に、冷蔵庫周りやパントリーのスペースも忘れずに確保してください。これらのアイデアを取り入れることで、キッチンがスムーズに機能し、ストレスの少ない料理環境を実現できます。
寝室の収納
寝室の収納は、快適な睡眠環境を整えるために大切です。まず、ベッド下のスペースを利用して衣類を収納する方法があります。引き出し式の収納ボックスを使えば、季節ごとの衣類を簡単に取り出すことができます。さらに、壁面を活用するのも効果的です。ウォールシェルフを設置することで、本や小物を飾りながら収納できます。これにより、空間が広がり、部屋がスッキリとします。
サニタリーの収納
サニタリーの収納は、限られたスペースを有効に活用するために工夫が必要です。まず、洗面台下のキャビネットには、タオルや洗剤を収納できるように仕切りを設けましょう。これにより、スッキリと整理整頓が可能です。また、壁面を活用した収納もおすすめです。ハンガーラックを取り付けることで、スキンケアやヘアケア用品を見える場所に整理できます。さらに、キャビネットの扉裏にフックを取り付けることで、取り出しやすい収納が実現します。こうした工夫によって、サニタリーはより快適な空間に変わります。家族全員が使いやすい設計を心がけると、日常のストレスを軽減できるでしょう。
収納スペースの種類と活用方法

収納スペースには、さまざまな種類があります。一般的なクローゼットや押し入れのほか、玄関収納やシューズクローゼット、納戸なども重要です。それぞれの特性を理解し、活用方法を考えることが肝心です。
シューズクローク
シューズクロークは、玄関周りの収納として便利なスペースです。普段使用する靴を整然と収納できるだけでなく、アウトドア用品や運動靴など、シーズンや用途に応じたアイテムを整理する場所としても活用できます。さらに、シューズクロークには掃除用具やベビーカーなど、大きなアイテムを収納できると便利です。玄関をスッキリと保ち、いつでも快適に使用できる環境を整えることができます。棚板の高さを調整できる可動式の収納や、靴の数や種類に応じたサイズを考慮した設計が求められます。家族全員の靴の種類や量を把握し、適切な収納方法を考えることが重要です。
パントリー
パントリーは、キッチンの収納スペースの一つで、食品や食器をまとめて収納できる便利な場所です。特に家族が多い家庭では、食材のストックが必要となるため、パントリーの存在は非常に役立ちます。パントリーは、使い勝手重視です。棚の高さや奥行き、収納の仕方を工夫することで、効率的にスペースを活用できます。また、食品の在庫を把握しやすくするために、透明な容器を使うと良いでしょう。さらに、パントリーは収納だけでなく、家事をスムーズに進めるための作業スペースにもなります。家族みんなが活用できるように、設計を工夫してみてはいかがでしょうか。
ファミリークローゼット
ファミリークローゼットは、家族全員の衣類や小物を一箇所にまとめて収納できるスペースです。各自のクローゼットが必要ないため、部屋をすっきりと保つことができます。この収納スペースでは、家族のライフスタイルに合わせた配置が重要です。たとえば、衣類の仕分けや季節ごとの収納を考慮し、効率的に管理できる仕組みを作ることがポイントです。使いやすい高さにハンガーやボックスを設置することで、全員が簡単にアクセスできるようになります。また、ファミリークローゼットは一カ所にまとめることができるため、出かける際の支度がスムーズになり、時間の節約にもつながります。
階段下収納
階段下収納は、意外に見落とされがちなスペースですが、使い方によって非常に便利な収納場所になります。階段の下は無駄となりがちなエリアですが、収納として活用することで、空間を有効利用できます。例えば、階段下のデッドスペースを活用して、小物収納や本棚を設置することが可能です。また、DIYでカスタマイズした収納ユニットを作ることで、個性的で機能的なスペースができます。
壁面収納
壁面収納は、省スペースを有効に活用できる優れた方法です。壁面収納は収納量を増やしつつ、床面積を占有しないため、室内を広く感じさせます。さらに、収納場所を可動式にすることで、使う順番に応じてフレキシブルに対応することができます。家族全員の物を整理整頓しやすくするためにも、壁面収納を取り入れるのはおすすめです。
まとめ
収納は単なる“モノをしまう場所”ではなく、“暮らしを整えるための仕組み”です。注文住宅だからこそ、自分たちの生活スタイルにぴったりの収納計画を立てることができます。最初に「どんな暮らしがしたいか?」をイメージしながら、必要な場所に、必要な量の収納を設けましょう。収納上手な家は、暮らし上手な家です。そのためにもまずは、家族のライフスタイルや必要な物の量を考慮し、適切な収納スペースを確保することが成功の鍵となります。新たな家のプランニングに入る前に、是非ご家族で今とこれからの収納量について考えてみてください。