スケルトン・インフィル構造の魅力

 

これから住む家は、何年くらい暮らす家でしょうか
また、みなさんが選ぶ家は、どれくらい「長く住むことができる家」かご存じですか?

近年では「高断熱・高気密」住宅と言う高い性能を有した家の需要が高まり、家の快適性や耐久性に注目が集まるようになりました。そこから、長く住むための「間取りの工夫」についても、いろいろなアイデアが生み出されています。

「建てた後は間取りを変えるのは、難しい」
だからこそ、無駄な空間にならないように将来のことを踏まえ、設計されています。

そんな住宅が量産されているなか、ライフステージの変化に合わせて間取りを変えることができる家があることは、ご存じでしょうか?

いままでのような一世代のみが住む新築住宅ではなく、次の世代へ残せる家づくり。それは純粋な家の「耐久性」だけに限らず、建てた後の「間取りの自由度」も大切な要素となってきます。

本記事では、そんな世代を超えて受け継げるスケルトン・インフィル構造設計の住宅の魅力について、ご紹介をさせていただきます。

 

 

目次

スケルトン・インフィル

—スケルトンインフィルとは?

 

スケルトン・インフィル(Skeleton Infill、略してSI)は、建築の構造と内部空間を分離する設計手法のことを指します。1960年代にオランダの建築家によって提唱され、日本では2000年代に入ってから分譲マンションを中心に普及が始まりました。建物の構造部分(スケルトン)と内部の仕上げや設備(インフィル)を独立して設計するため、構造を強化し、耐震性や耐久性を高め、内部の間仕切りや内装は非構造体として自由に配置・変更することが可能です。

 

—主流な木造住宅とスケルトンインフィルの違いは?

主な木造住宅は構造体と内装が一体化した設計になっているケースが一般的です。日本の伝統的な木造軸組工法(在来工法)やツーバイフォー工法では、壁や柱が建物の構造を支える役割を果たしているため、間仕切り壁が耐力壁となっており、これらの壁を移動・撤去することは建物の構造に影響を及ぼします。そのため、間取りの変更やリフォームを行う際には制約が多く、最初に建築された間取りを変更するのは、難しいと一般的に言われています。

スケルトンインフィル住宅の魅力

 

 

構造と内装を分離して設計すると、どれほど暮らしの選択肢の幅を広げることができるのか、スケルトン・インフィル住宅の魅力についてご紹介をさせていただきます。

1,ライフスタイルに合わせた間取りの自由設計

建物の内部の間仕切り壁が構造に影響しないため、部屋の大きさや配置を自由に設計することができます。そして、何よりも建物が完成した後も自由に内装を変更することができるという点が最大の魅力と言えます。ライフステージの変化に合わせて部屋を仕切ったり、逆に繋げて広い部屋にしたりと、柔軟に対応することができます。なぜ、間取りを変えられるというのが魅力に繋がるのか今後の人生で起こり得る具体的な可能性を例に、ご紹介をさせていただきます。

第一子が生まれて子育てに家事、仕事と忙しい毎日

子どもが小さいうちは目が離せない。そして、今はひとりだけれど、これから家族が増える可能性もある。性別は同じか別か?未確定要素がたくさんあって、子ども部屋をどうするかも悩んでしまいますよね。とは言っても、部屋を大きくつくって空き部屋になってももったいない。また、子供が小さいうちは家事をしながら子どもの姿を見られるようなオープンスペースで子育てをしたい。とは言っても、子どもが大きくなって思春期になった時に、ある程度のプライバシーは守ってあげたいし、自立を促すためにも自分の部屋を管理するという経験をしてもらいたい。
このように、そのときどきで必要な空間の使い方が変わります。
通常の家であれば最初に決めた後に、空間を変えるのは難しいですが、「今の間取りを変えたい」と思ったときに対応することができるのがスケルトン・インフィルです。

 

子育てが一段落。次のステップは親の介護?

子どもが独り立ちして、ようやく夫婦だけの時間。かと思いきや、親の介護が必要になるケースもあります。もし、一人になってしまったご両親を迎え入れることになった場合、その家は介助するのに適した家でしょうか?バリアフリー設計は、中途半端な広さの確保では意味がありません。例えば、車いすの車幅と回転可能な幅を確保したり、トイレは車椅子で中まで入れるようにする。車椅子が通れる家にするだけで、一人で行動できる範囲が広がり、介助する側の負担を減らすことができます。また、1階にご両親のための部屋をつくることも可能です。身体の負担を少しでも減らせるよう介助するのに適した住まいにできると嬉しいですよね。建てた時には予想が難しいですが、「介助に適した家にしたい」と考えたときに、助けになってくれるのがスケルトン・インフィルです。

 

子どもとの二世帯住宅

子どもたちが結婚。もしかしたら、子どもたちの方から一緒に住みたいと言ってくれるかもしれません。そんな時、一世帯で検討された家では住みにくく、二世帯住宅への建て替えの相談を受けることが多々あります。ですが、そんなときもスケルトン・インフィルの住宅であれば、建て替えではなく内装や設備だけをリフォームして二世帯住宅に適した家に変更することが可能です。建て替えるよりも工期を短縮することができるため、仮住まいの費用を抑え、さらに建て替えるよりも、建築費用を抑えることができます。

 

代替わり→次の世代へ家を譲る

将来、子や孫に家を残したとき。今はまだ、売却をするか。更地にして、土地だけを受け継いで新たに子や孫が家を建てるという選択が主流ですが、スケルトン・インフィルの住宅であれば受け継ぐ次の世代の好みに合ったリノベーションをして住むことが可能です。リノベーションの際に、懸念される「ここの壁は耐震の関係上、取ることができません」といった事はありません。一番初めに建てた家が「構造」と「内装や設備」を分離して設計されているので、現行の間取りに制限されることなく、好きな間取りに変えることができます。

 

このように、家が完成した後もライフステージの変化とともに、その状況にあった間取りも変わっていきます。「変化に対応できる家」、それがスケルトン・インフィルの住宅です。

 

2,リノベーションが容易にできる=長期的な視点での資産価値の向上

時代やニーズに合わせたリノベーションが可能です。経年劣化や家族構成の変化に合わせて内装や間取りを刷新しやすい構造のため、時代に合わせたリノベーションを行いやすく、長期的に住み続けることができます。また、親族内で家を受け継がないという選択をした場合に、家を売却するという選択をすることがあります。その場合、多くの家が「家の価値」ではなく、「土地の相場」で売買されるのが一般的です。ですが、中古住宅を探しているオーナー様からすれば、中古で流通している家の多くが大きく間取りを変えるのが難しいなかで、今ある間取りを容易に変更が可能である構造の家という点は、魅力的で中古住宅市場でも高く評価されます。これは、賃貸にだす場合も同様です。その立地の周辺環境の「その時」需要の高い間取りに変更することができます。その際のリフォームは、構造体に影響を与えない内装部分のみの変更で済むため、大規模な工事を必要とせず、リフォーム費用を抑えることもできます。

3,メンテナンス性の向上=LCC(ライフサイクルコスト)を低減し、建物の長寿命化

点検・修理が容易です。10年から20年ほどで設備の取替えを検討されると思いますが、配管や配線がアクセスしやすい位置に配置されているため、取替え工事が容易です。また、故障した際にも複雑な配管や配線がないため、迅速に対応することが可能です。このように、メンテナンス性が向上するため、維持管理コストを削減することができます。長期的に見た際に将来的な改修費用やライフサイクルコストを考慮すると経済的であることが分かります。

4,環境への配慮=SDGs

建物を長く利用することができるということは、住む人の経済的なメリットだけではありません。日本の建物は、建てられてから取り壊されるまで約30年程だと言われています。その年数が60年、100年と延びれば、地球環境へ貢献することができます。建物が解体される際に排出される廃棄物の削減が図れるため、環境に優しい構造と言えます。また、構造と内装や設備を分離して考えられているため、大規模な改修工事よりも部分的な更新が可能なため、資源の節約にもつながります。子どもや孫の世代へ暮らせる場所を残すだけではなく、次の世代へ、よりよい地球環境を残す一助となるでしょう。

 

まとめ

スケルトン・インフィル構造設計の住宅の魅力について、解説をさせていただきました。
木造住宅の内装の壁や柱は一般的に、耐力壁となっており、最初につくられた間取りから変更することは容易ではありません。リノベーションのご相談をいただく際も、耐震上、希望の間取りに変更することは難しいとご案内せざるを得ないことがあります。ですが、最初に建てた家がスケルトン・インフィルの住宅であれば、自由に間取りを変えることが可能です。
「変えることができる」という一つの選択肢をもった家は、これからの人生の手助けになることができるのではないかと思います。

eSmy-homeでは、埼玉県越谷市を中心に千葉県の一部の地域で「スケルトン・インフィル」の家をご提供しております。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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