夜の住まいを美しく、安全に。後悔しない外構照明の選び方と設計ポイント

外構(エクステリア)の照明計画は重要です。どのように演出したいか。外構照明をどう計画するのかによって家の表情は変わります。また、外構照明は住まいの外観を引き立てるだけではなく、防犯や安全性、夜間の利便性にも大きく関わる部分です。
本コラムでは、注文住宅の外構照明の選び方と設置ポイントについてご紹介します。

目次

外構照明の基本

外構照明とは?主な役割

外構照明とは、住宅の外部や庭、アプローチなどに設置される照明のことを指します。この照明は、単なる「明かり」ではありません。計画的に取り入れることで、夜間に外観を美しく演出するだけでなく、安全性や防犯効果を高めるための重要な要素となります。

外構照明は、大きく分けて以下の4つの役割があります。

 ①デザイン性の向上
外構や植栽、外壁をライトアップすることで、夜の住宅をドラマチックに演出。建物のデザインがより引き立ち、昼とは違った趣のある表情を楽しめます。
例: シンボルツリーの足元にグランドライトを設置すれば、幻想的な雰囲気に。

②防犯性の向上
人感センサーや明るさセンサーを活用することで、不審者が近づきにくくなり、住まいを守る防犯対策になります。特に人目の少ない裏手や勝手口、駐車場周辺は重点的に照明を計画しましょう。

③夜間の安全性の確保
玄関アプローチや階段、門柱、カーポートなどの足元を照らすことで、転倒やつまずきを防ぎます。お子さまや高齢者のいるご家庭では特に重要なポイントです。

④利便性の向上
夜の帰宅時や荷物の出し入れ、ゴミ出しなど、ちょっとした作業でも照明があると安心です。玄関や勝手口などには自動点灯するセンサーライトがおすすめです。

外構照明の設置場所別ガイド

門柱・ポーチ

門柱やポーチのエリアに適切な外構照明を設置することで、外観を一層引き立てることができます。門柱にはステップライトやポールライトを設置するのが効果的です。これにより、訪問者を温かく迎え入れる雰囲気を作り出すことができます。また、明るさを調整することで、柔らかな光を演出し、落ち着いた印象を与えることが可能です。また、ポーチ周りでは、壁面に埋め込むタイプの照明や吊るし型の照明を選ぶと良いでしょう。これらは、足元を照らすと同時に、周囲の雰囲気を醸し出します。特に、夜間に帰宅する際にも安心して歩けるよう、センサー付きの照明を選択することをお勧めします。最適な照明を選ぶことで、門柱やポーチは安全で魅力的な空間に変わります。

アプローチ

アプローチは、明るめの照明を配置することが基本です。照明がしっかりと効いていれば、道筋がはっきりし、来訪者に安心感を与えます。特に、歩行者の移動をサポートするために、足元を照らすフットライトや、両サイドに沿ったスポットライトを使用することが効果的です。また、家の顔になる場所でもあるため、照明器具のデザインにこだわるのもおススメです。アプローチのスタイルに合った照明を選ぶことで、統一感が生まれ、外観が引き立てられます。さらに、色温度や光の広がり方を考慮し、幻想的な雰囲気を演出することも可能です。アプローチにこだわることで、家全体の魅力を高めることができるのです。

中庭

中庭の照明は、住まいに特別な雰囲気をもたらす重要な要素です。外に対する見え方を意識するよりも、内側の家のなかから見える景色をどのように演出したいのかという視点で考えます。夜、中庭をライトアップすると幻想的な空間を演出できます。照明を利用することで、柔らかな光が壁や植栽に映り、心地よい空間を作り出します。また、中庭の中心や周囲に照明を分散させることで、全体のバランスを整え、魅力的な景観が生まれます。特に、植物やオブジェを照らすスポットライトの利用は、見え方を引き立てるため効果的です。適切な照明選びと配置で、中庭を素敵な空間に仕上げてください。

駐車場

夜間に車を駐車する際に明るさが不足していると、人によっては駐車をするのに心許ないと感じます。駐車は日々の生活で繰り返される動作だからこそ、楽に駐車できるか否かは大切です。そこで、駐車場用の照明を適切に設置することが求められます。まず、駐車スペース全体を照らすために、ガレージやカーポートのある家では天井取り付け型の照明を。その他、ポールライトを利用することが考えられます。均一に明るさを確保することで、安全に車の出入りができ、視界を確保しやすくなります。また、センサー機能が付いたライトを選ぶと、車の出入り時に自動的に点灯し、便利です。暗がりから突然明るくなることで、防犯効果にもつながります。駐車場の照明は、利便性だけでなく安全性にも深く関わってきますので、快適で安心できる空間を作るために、ぜひご検討ください。

外構照明の種類と選び方

外構照明を選ぶ際には、いくつかのポイントに注意が必要です。照明の目的を明確にし、全体の演出に合わせてデザインを統一します。加えて、ルーメン(明るさの単位)を確認し、適切な明るさの照明を選んでいきます。

注文住宅の外構に使われる代表的な照明の特徴は以下のとおりです。

● ポールライト
背の高い照明で、アプローチや駐車場などを広く照らすのに適しています。植栽とのバランスも良く、シンボルツリーと合わせて設置すると美しい演出が可能です。

● スポットライト
特定の対象を照らす照明です。植栽や外壁、表札などを照らすことで、住宅の表情を際立たせます。照射角度や明るさの調整が可能な製品を選ぶと便利です。

● グランドライト(埋め込み式)
地面に埋め込むタイプで、足元から植栽や壁を照らす演出に最適。フラットな形状のため、空間を邪魔せずスッキリした印象になります。

● ウォールライト
壁面に取り付けるタイプで、玄関やポーチ周りに多く使われます。上下に光を出すデザインのものなど、建物と調和させたデザインが人気です。

● センサーライト
人感センサーや明るさセンサー付きのものは、防犯や省エネに有効です。夜間だけ自動点灯するように設定できるタイプがおすすめ。

これらの照明器具は種類に関わらず省エネ性を考慮することも大切です。LED照明は長寿命で、消費電力も少ないため、経済的な選択肢となります。これらのポイントを参考に、自分のライフスタイルに合った外構照明を選びましょう。

設置ポイントと注意点

外構照明を設置する際には、いくつかのポイントを押さえることが大切です。動線に沿って必要な場所に設置することで、効果的に空間を照らすことができます。次に、光の強さや色温度を選ぶ際には、全体の雰囲気に合わせて選びます。暖色系の光はリラックス感を与え、白色系の光はシャープな印象を与えます。夕方や夜に家の外観がどのように見えるかイメージして決定すると良いでしょう。

以下の点を意識して、配置や照明器具の計画を考えます。

■ 明るすぎない光を選ぶ
外構照明は「明るければよい」というわけではありません。必要な場所に、必要な分だけの光を届けることが大切です。光害(グレア)を避け、落ち着きのある雰囲気をつくりましょう。

目安: 足元用には100~200ルーメン程度、演出照明には300~500ルーメンが一般的。

■ 配光・角度を調整して“影”を楽しむ
光が当たる場所だけでなく、できる影の形や濃さによって空間の印象が大きく変わります。植栽や壁との組み合わせで、まるでアートのような美しい風景が生まれます。

■ 防水・防塵性能(IP等級)を確認
屋外照明には、IP44以上(防沫型)の防水・防塵性能があるものを選びましょう。雨風や落ち葉、ホコリの多い環境でも安心して使用できます。

■ 建築計画と一体で進めるのが理想
照明は後から設置できるものですが、電源の取り回しや配線が必要なため、建築時から設計に組み込むことがベストです。外構プランナーや建築士と早い段階から相談しておくと、コストも抑えられ、美しい仕上がりになります。

まとめ:外構照明は“住まいの顔”をつくる重要な要素

外構照明は、日が暮れたあとのわが家をやさしく包み込み、家族の安心と癒しを灯してくれます。ただ明るくするだけでなく、住まいの雰囲気や暮らしの快適さまで左右する“光の演出”。注文住宅のこだわりを、家の外側にも広げて、心まで満たされる住まいづくりを目指してみてはいかがでしょうか。

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